『ワイルドスワン』から知った中国

この週末で、上・中・下巻を読みきりました。
何時間かかったんだろう…

ワイルド・スワン(上) (講談社文庫)

ワイルド・スワン(上) (講談社文庫)


読みながら、清朝末期から天安門事件までの中国を主人公(祖母・母・娘の3人の女性)を通して知りました。


祖母が足の骨を砕き、纏足(てんそく)をされるところから始まり、母が共産党の為にわが身を捧げ、娘は過酷な文革の時代を生きる…「中国ってなんという国なんだろう」というのが読後の素直な感想。


毛沢東の全盛期に「鉄の生産量を1年のうちに2倍に」という掛け声のもと1億人の農民が農作業をせずに鉄くずを集めて、鉄を溶かす鍋に薪をくべていた為に食料がなくなって大飢饉になったとか、家庭での一切の調理を禁止し、全員が食堂でご飯を食べないといけないとか、知識人は農民に学べと下放され、先生が生徒から袋叩きにあう事を推奨したとか…ついこの間まで中国じゃそんな事になってたのか…と衝撃は大きかった。


いま北京で見ている街並みや、市場経済の雰囲気が嘘みたいに感じてしまう。


そんなとんでもない政策を推し進めた毛沢東の肖像が、それでもなお天安門にあるという事実に中国の不思議さを猛烈に感じる今日この頃。


祖母・母・娘とどの時代も本当に過酷で、どの時代でも私は生き抜けなかっただろうな…


中国の同世代の人たちも、その両親や祖父母もそんな過酷な時代をどこでどうやって生き抜いて来たんだろう


この中国の混沌や、乱れた情報、人間の在り方が、この本を読んで、すーっと納得できてきた


中国理解の為には新書よりも『ワイルドスワン』を読む方がいいかも