アジアイノベーションフォーラム

月と火の2日間、ヒルズの40階でアジアイノベーションフォーラムに行ってきた。


登録料が5万円だし諦めてたけど、会社で超ラッキーなことにチケットをもらえて、仕事の合間をぬってヒルズ内のオフィスと40階のアカデミーヒルズを行ったり来たりして聴いてきたので感想を。


とにかくスピーカーが豪華で、しかもテーマが「アジアのイノベーション:地球の限界 アジアの成長 日本の責任」だから、アジアの中の日本についてずっと考えている私にとっては大興奮のプログラム。


個人的には、ICSの竹内弘高さん、元内閣顧問の黒川清さん、締めの講演をする緒方貞子さん、は絶対に聴かなくては!と思って、そこは仕事を抜けて参加。


ただ、全般的にこのフォーラム、1人で1時間くらい話しても十分パフォーマンスとして素晴らしいだろうな、って人を贅沢にもパネラーにしてしまって、無理に同じ話題を振ろうとするから、聞いてる方も薄い話しか聴けないし、パネルディスカッションも深まらないし(ひたすらコーディネーターが大変そうでかわいそうだった)…なんか1つずつの素材がめちゃくちゃ高いけど味は普通の超高価なフランス料理のコースでも食べてるみたいな感じ、というのが正直な感想。


私が顔出した中で唯一これは来た甲斐があったな、って思えたのは黒川清さんの講演。


この動画の1時間14分くらいからスタートする。

※その前の部分は、超豪華だけどちょっと勿体ないパネルディスカッション。他のパネルと比べると最初の楠木先生のプレゼンや進行形式も良い方だったと思うけど


黒川さんは勢いがあって、伝えたい言葉があって、とても良かった。


自分で感じて、考えて、動いてる人からしか出ないオーラを持っていて、言葉のもつ説得力が全然違った。


なんで黒川さんが1時間半講演しなかったんだろう。
そうしたらもっと面白かっただろうに…もったいない。


他のパネラーの方々は、パッションみたいなのがなくて、つまんなそうだし、パッとしないし、なんというか「頼まれてここに座ってます」って感じで、何か伝えたくてこの会場に来たという意志がなかったなー。


言ってることでかいくせに、なんか本気度が感じられないというか、もうちょっと熱い話が聴けるかと思って期待してただけに、ちょっと失望。


このフォーラムのコアである「グループ20」からの提案っていうのも、「アメリカにならない」とか「●●にならない」って言い方ですごく婉曲的。


質疑応答で、「●●にならない」じゃなくて「●●になる」じゃないですか?「●●になる」が見えてないんじゃないですか?という問いに、「●●にならない」というのが「●●になる」の裏返しだ、って答えてて、「だったらそう書きなよ…何が言いたいんだか伝わらないよ」と聴衆の多くは思ったに違いない。(特に外国の方)


そういう表現をして、意思が正面から伝わらない、伝えられないのが日本なんだなーって変なところで実感してしまった。。。


このパネルで質問者から

「日本人はどれだけアジア知ってるんですか?タイに旅行した事あるとかそういうレベルじゃなく…」

という問いかけが出て、登壇者の人たちに対して、私も同じ質問をしたい気持ちでいっぱいだった。


ビジネスマンとして、学者として、各国のエリートな方たちと交流して、こうもっともらしい「日本のあるべき戦略」とか言っちゃってるけど、どんだけアジアと本気で付き合った事あるんだろう?


アジアの日本以外の国に住んだ事あるのかな?


正直、みんなアメリカとかヨーロッパしか住んだ事ないんじゃない?
ちょっぴり出張や旅行で行ったことあるだけなんじゃないの?っていう気がした。


「英語が大事だ」というのは共通言語として確かにその通りだと思うけど、アジアと交流するにはアジアの言語や文化を知る事がもっと重要だと思う。


英語しか話せない人がアジアのその国の事がわかるなんて思えない。
だって、例えば中国を本気で知ろうと思ったら、中国人と中国語で話し合わないとわかんないと思うし、英語でなんて無理だよ。


ま、「若いうちからアジアへ」っていうのは共感。


それはビジネスエリートとして商社とか銀行とかで出張するとかそういう事じゃなく、信頼できる仲間を創るという意味で。


黒川さんも言ってたけど、何か始めようと思った時にお願いできるような仲間がいるかどうか、それってすごく重要だと思う。


ビジネス上だけの人間関係じゃ、そんなの無理だし。


あと、今年かららしいけど、Twitterでもリアルタイム中継で(数日前からTwitterでバナー広告をする位に気合いが入っていた)、Youtubeでも映像を配信するという力の入れよう。


ただ、参加者の年齢層やプロフィールからすると(質問者の職業や所属、雰囲気とか)TwitterYoutubeを使っている層では全然なくて、いい試みだなとは思ったけれど、ちょっと外してて残念。


女性の参加も少なくて、最後の緒方貞子さんの質疑応答の時に女性優先で質問を、となった時に質問した女性たちは、OECDやら国連やらの関係者ですごい偏りがあるなーという印象。


年代は40代〜50代が多かったかな。若者って30代後半くらいの人を指しているのかも。


2日間行ってみて、アジアで、世界で、日本が生き残っていける感じがしなかったのは、なにはともあれ事実かな。


日本の偉いおじさん達に任せておいたら、我ら20代って本気でやばいなーと皮肉にも感じた2日間。
とても貴重な経験でした。